行動分析学と学校

夏休みになると職員研修として毎年、何らかの研修を行います。ハイパーQUの分析の仕方、人権研修やいじめ、体罰、発達障がいに対する理解だとか、学習指導要領の改定がされた年はいろいろな方から改定の意図などを学びます。文部科学省の方(実際は教員で研修に行った方)から直接話を聞くこともあります。教員による不祥事があると事例研修といって半ば指導的な学習をすることもあります。今年は臨床心理士の先生が学校に来られて行動分析学について学ぶ機会があり、いろいろ参考になりましたが、学校での指導とは違う部分もあり、若い先生にはそのまま指導に使うとやや難しい部分もあるのでそれについて書いてみだいと思います。

行動分析学とは

今日学んだ内容は行動分析学という学問で、人の行動から人間を理解しようというものです。したがって内面はあまり重視しておらず、問題を起こす子どもに対して内面への指導ではなく、行動そのものをから指導するものでした。また、環境と行動はお互いに影響しているなど参考となる部分もありました。よく言われるのがニューヨークの地下鉄の落書きをきれいになくしたら、犯罪率が低下したというものです。学校でも、校内暴力で子どもが荒れていた時代は教室も乱れ、ゴミやガムなどが平気で捨てられていました。若いころは先輩の先生から放課後、机を整頓してから帰るように言われましたが、今になって思うと環境の大切さと教えてもらったのだと思います。実際、若いころは机の乱れなどさほど気にもならなかったのですが、長年教員をしていると、とても気になるようになりました。雑巾のかけ方ひとつも気になり、指導することも多くなりました。行動分析学の環境の大切さを身をもって知ったのだと思います。環境が行動に影響を与え、行動が環境を変えるという考え方は大変勉強になりました。

行動分析学におけるメリット・デメリット

今日学んだことは、ほんの一部分なので、詳しくは専門書を読まなければなりませんが、簡単に言うと人の行動はメリット、デメリットで行われるというものです。不登校の子どもが増えている原因の一つにこのことが当てはまります。学校に行くことは、人間関係のわずらわしさ、嫌いな勉強をしなければならない。つまりその子にとって、学校へ行くという行為はデメリットなのです。家にいるとう行為は今やスマホやゲームなど楽しいことが多くあります。家でユーチューブを見たり、オンラインでゲームをしたり、楽しい環境があります。つまり家にいることはメリットなのです。こう考えると不登校の子どもが増えている原因の一つを理解できる気がしました。

行動分析学と学校での指導

行動分析学はあくまで行動から人を分析していく学問なので、内面は重視しません。問題を起こした子どもへも、内面への指導ではなく、行動への指導が中心になります。つまり、問題を起こしたら謝らせ、いい行いをしたら褒める。つまりメリット、デメリットを作用させる指導です。問題を起こすと指導をうけデメリットにつながる。だから、問題を起こさなくなる。いいことをすると褒められる。つまりメリットがある。だからいい行いが増える。簡単に言うとこういう考え方です。専門的にはこんな単純ではないのでしょうが、行動分析学における指導方法はこのような内容だったと思います。信賞必罰的な考え方だと思いました。

実際の学校での指導

行動分析学は内面より行動を重視した指導なのですが、学校現場では必ず内面への指導を行います。問題行動に対して、教師は必ず「どうしてやったの?」「相手の気持ちを考えるとどう思う」など内面への働きかけが中心となります。しかし、子どもたちの行動は必ずしも理由があって行うものばかりではありません。おもしろそうだからちょっかいをかける場合もあります。こういう時に、「なぜ」と理由を聞かれても理由なんてないので、困って嘘を言います。そうなると結構厄介で指導が難しくなる場合もあります。逆に、理由がある場合はどうでしょうか。理由も聞かずに指導し謝らせた場合、子どもは納得がいきません。その後、子どもからの反発や保護者からのクレームの電話が入ります。「なぜ一方的に決めつけて叱るのですか」といった風にです。対応の仕方はどちらも難しいのですが、学校では問題起こした子どもに理由を聞くことはやはり基本のように思います。その時の様子や教師とのやりとりから、「悪ふざけでやったの?」など理由がない対象方法を考えることが大切です。生徒指導対応の難しさはある程度パターンを考えて指導をしますが、状況に応じて対応を変えなければならないという点です。行動分析学ば一つの指導方法として参考になりますが、それを全ての答えの様に対応することはお勧めしません。やはりその子にとってどうすることがいいのか考える必要があります。その上でいろいろな状況を想定しながら対応することが必要でなないかと考えます。

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