虐待と聞くと、ニュースで流れる悲惨な事件を思われる方も多いと思います。学校であのような悲惨な事件が常におきているかというと、違います。ニュースにならないまでも、学校ではどうようなことがおきているのかを説明していきたいと思います。
①虐待を認知した場合の対応
保護者による虐待で子どもケガをして学校に登校した場合どのような対応をするかを説明したいと思います。学校には通報義務があり、すぐに児童相談所や市町村の福祉課へ連絡を入れなければなりません。教育委員会へも連絡し、状況に応じて、警察への通報も行います。すると、児童相談所や福祉課の方が学校にきて、子どもと面談を行い事情が聴かれます。一般的には兄弟姉妹にも聞き取りが行われます。その後、保護者へ連絡を行い事情聴取が始まります。虐待が認定されれば子どもは一時保護の対象になり、保護者と会うことなくそのまま児童相談所で保護されます。(詳細はわかりませんが私の経験上1ケ月から3ケ月ぐらい保護されます。その間は子ども達は学校にくることも保護者に会うこともありません。)保護者は児童相談所や福祉課、場合によっては警察と面談をし指導が入ります。学校側は連絡をとることや把握した内容の説明、家族構成などが聞かれ虐待そのものへの対応はしません。ここまで大事になるケースは稀ですが、日常的に行われている場合や子どもが「家に帰りたくない」といった場合、ケガがひどく病院で治療が必要だと思われる場合は虐待としてこのような対応がされます。
②実際のよくある事例
保護者による暴力でケガをして登校した場合。手順は同じで児童相談所と福祉課へ連絡を入れます。教育委員会へも連絡をします。ただ、子ども達の多くはケガについて保護者がやった事実を正直に言わない場合は多いです。保護者に脅されているわけではありません。自分が悪いことをしたと認識し、保護者をかばうケースが多いです。転んだとか壁にぶつかったとかいろいろ言い訳をします。保護者へ連絡をするとわりと素直に手を出したことを認めることが多いです。なぜならしつけのつもりでやっているので虐待の認識は殆どないからです。テレビのニュースのように悪意をもって隠蔽していることもあるかもしれませんが、多くの保護者は「そんなことで通報されるんですか」を言われます。大抵の場合「子どもが嘘をついたから叩いた」とか、「言うことを聞かないので叩いた」というものです。昔ならよくあることだったと思いますが、今はそれは問題になります。程度にもよりますが、児童相談所に連絡をしても、大抵の場合、保護者への注意で指導が終わります。個人的な考えですが、体罰に似ていると思います。3,40年前では体罰も教育の一環で行われ我々が子どものころは先生に殴られても問題にもなりませんでした。今や体罰=懲戒の対象になります。虐待についても同じように、親だからと言って暴力をふるっていい時代ではなくなってきたのかもしれません。
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