なぜ教員不足なのか

全国的に教員不足がつづき、いくつかの学校では定員に満たない状態で学校がはじまっています。文部科学省もいろいろな方法を考え、手をうちはじめたいますが、少子化の今、なぜ教員不足がおきているのか?現場の教師として私なりの考えをかきます。

①教育学部の学生が教師にならない

②産休・育休制度の充実にともなう離職者の増加

③免許更新制度(現在は廃止)による免許の失効

④もともと生産年齢人口が減っている。

⑤精神疾患による病休職員の増加

①教育学部の学生が教員にならない

 毎年、教育実習に地元の国立大学(今の独立行政法人)の教育学部の学生がきます。そこで、「教師になる気がある子と」聞くと、1、2割ぐらいしか手があがりません、殆どの学生は単位のために仕方なく来たというもので、正直やる気は感じません。なぜそんなことになったのでしょうか?私の勝手な想像ですが、バブルが崩壊したあと、就職氷河期がきました。教員の採用も私の記憶では100人の募集のところ1000人の学生が殺到したと記憶しています。今の40歳ぐらいの方は何度も受けてやっと合格したと言っています。この時代教育学部を出ても教員になれない時期が続きます。講師を続けて何度も採用試験に挑戦した人もいますが、多く学生は別の職業に進みました。いつの日か教育学部でも別の就職先があるようになりました。同じ職場の40歳の先生に聞くと、同じゼミの仲間で教師になったのは私だけで、あとは市役所や民間に就職したと言っています。その流れが今の大学にあるのだと思います。教師にならないのなら教育学部に進まなくてもいいのではないかと思いますが。ここからは私の勝手な想像ですが、地方の国立大学で、文系は教育学部しかないところが多いのです。経済学部や文学部のある大学は少なく、おそらく文系の学生さんでとりあえず大学に進もうと考えたとき手っ取り早く教育学部があるのだと思います。就職先を見ても教師以外の仕事があるし、親にも経済的に迷惑をかけないと考えると進む方向が決まる気がします。

②産休・育休制度の充実にともなう離職者の増加

初めに行っておきますが、今の産休育休を否定しているわけではないので、誤解をしないでほしいのですが、産休育休制度の充実が離職者を増やす一因になっていると思います。どういうことかというと、昔は産休育休を合わせて1年で復帰するというのが一般的でした。しかし、現在、大まかにいうと2、3年とることができます。3年とると多くは二人目ができることが多いです。するとまた3年休みます。もう一人できるとまた3年休みます。9年後あなたは職場に復帰できますか?学習指導要領も変わり、時代も変わります。25歳で産休育休に入ったとします。復帰の時は30代の中堅として現場にでますが、経験は3年しかありません。不安が走るのは当然です。全国調査したわけではありませんが、身近な先生方を見ていると復帰する先生と辞められる先生は半々ぐらいに感じます。

③免許更新制度(現在は廃止)による免許の失効

現在は廃止されていますが、免許更新制度というのがありました。私もやったのですが、結構面倒です。車の免許のように無事故無違反なら半日で更新できるなんてものではありません。更新する前の年に申請をしてIDを取得します。免許更新をする年の初めに受講する講座をいくつか申し込みしなければなりません。これも自分で申し込みをして、人気のある講義は抽選になり、落ちると別の講義をさがさなければなりません。必修教科と選択教科があり、教師をしながらですので、当然、土日の講座を申し込みます・しかも有料です。総額で3万円ぐらいだった記憶です。全てを終えると教育委員会へ申請して終了です。しなければ免許が失効して、無免許になり教師を続けることができません。これで退職前の先生方は再任用はやめたという人がいました。産休でやめたが子どもに手がかからなくなったので復帰しようという方も免許が失効しているので復帰をあきらめる人もいました。現在は免許更新制度は廃止になっていますので、教育委員会に申請すれば免許は復活するらしいのですが、迷っている人にとっては面倒な手続きをするぐらいなら辞めるという人もいるのではないでしょうか。

④もともと生産年齢人口が減っている

団塊の世代が退職して教員が一気に不足しています。少子化で子どもの数が減っているのに、なぜ教員不足なのか。実は若者の数も減っているので就職する学生が減っているのではないかと思います。定年延長や外国人労働者を入れるなど、国全体で労働人口を確保するのに必死になっています。教師も足りなくなっても当たり前のように感じます。

⑤精神疾患による病休職員の増加

病休で休む先生は、身近にもいました。知っている先生で長期に休まれ、最終的に退職された方もいます。こうしたことは以前からもあったのですが、以前は講師がすぐに見つかり、補充ができたので表立って問題化することは少なかったと思います、しかし、今は一人の先生が休まれると補充を見つけることはほぼ不可能です。なぜなら、もともと教員不足で正規の職員が足らない上に、急に補充することは現実的に難しいからです。(そのため、学校では別の職員、生徒指導や教務主任が担任を兼ねている。小さい学校では教頭が担任をしていると聞いたことがあります。)では病休になる先生とはどういう先生方でしょうか。身近な状況だけの話なので全国的なエビデンスはありませんが、実際の例で話をすると、今まではバリバリと仕事をこなし、学年主任や教務主任などを務めたベテランの先生方が突然、精神疾患に追い込まれ休まれているという現実です。最近の例では数人、知り合いの先生だけでも5人は退職をされています。おそらく全国的にはもっと多くの先生方が病休または定年を待たずに退職をされているのではないでしょうか。なぜ、そんなことが起きるのか?これも全てがそうだとは言いませんが、身近に起きた例では、保護者からのクレームが一番多いように思います。学校の教師で一番困るのが、話し合いが成立せず、教師の落ち度を教育委員会や裁判所へ訴える保護者が増えてきたことです。私も若いころは多くの失敗をして、いろいろな方からご指導を受けたことがありますが、ある程度で許してもらえていた気がします。しかし、最近では一部ですが難しい保護者の方も増え、いろいろとクレームが入ります。対応を間違えるとすぐに裁判になったり、教育委員会を巻き込んだ訴訟になったりします。特にベテランになると以前はよかったやり方が問題視されると一気に自信をなくし精神疾患へとなるのではないしょうか。もう少し具体的にいうと、あるニュースなどで、先生も一緒になっていじめをしていたため学校へ行けなくなったという報道がありました。このニュースだけだとなんという教師がいるもんだと思います。しかし、もしかしたらその生徒と普段からふざけることができる間がらで、ちょっと教師が悪乗りをしてしまったのかもしれません。真相はわかりませんが、ニュースの裏側に何があったのかを考える必要があります。当然教師側が悪いのですが、次第に冗談が冗談ではなくなり、教師と生徒との関係も授業だけとか。子ども同士のトラブルは警察や裁判所で処理してください。とう時代にならないか危惧します。

◆このままでは学校にかかわる問題が多発する

 国も教員を増やすために、採用試験を全国統一にするとか、教師の給料を上げるなどの方法を考えていますが、このままの状態が続くと、おそらく学校にまつわるいろいろなトラブルが多発する可能性があると思います。すでに一部の学校では教師が絡んだ問題が増えつつあるように思います。

◎私の思う対策

①教育学部改革を

毎年やる気のない学生に教育実習で時間を取られることに現場の教師としては正直やめてほしいという思いがあります。そこで教育学部の学生でも教育学専攻として教育実習を免除してはどうか。教師を目指す学生のみを教育実習に参加させ、参加しない学生には免許を出さない制度にしてはどうでしょうか。また、インターン制度を作る。教育実習だと授業案をつくり毎日日誌を書き、授業の準備など結構大変で、そこでやる気をなくす子もいるように思います。そんなものは教師になってからでも勉強できるのでまずは子どもと仲良く接し、教師の魅力を知る必要があります。大学の3年生ぐらいの半年は学校のお手伝いで個別に勉強をみたり子どもと遊んだり、一緒に遠足に行ったりしてはどうでしょうか。教師としての魅力を学生が知る必要があると思います。

②産休育休復帰制度を作る

初任者にはサポートの職員がいますが、同じように産休育休の先生が復帰するときにサポートの職員をつけるようにしてはどうでしょうか。退職した教師や講師の先生でもかまわないので、相談にのったり一緒に授業をしたりする職員を配置して復帰しやすり環境を作ってほしいです。

③失効した免許を全て復活させる

教員だった人の免許を復活させる。現在も教育委員会に申請すればできるらしいのですが。そもそも面倒だと思っている人は動きません。教育委員会のデータから免許が復活した趣旨のはがきを送り、手続きなしに教員復帰を促して②のサポートの仕事などを斡旋してはどうでしょうか。

④東京一極集中をなくす

これは日本の少子化に対する勝手な思いです。東京では物価が高く、子どもを育てるのにお金がかかるため、一人しか子どもをつくらない家庭が多いと聞きます。しかし、地方都市であれば、普通に二人三人の子どものいる家庭があります。しかし、毎年、4月になると多くの若者は東京へ行きます。大学進学や就職のためです。つまり、毎年、一人しか子どもをつくらない環境に多くの若者が集まることになります。これを打破することが日本の少子化対策になると思います。現実的には難しいと思いますが、例えば、西洋美術館や東京芸大、音楽系の大学のような芸術系の学校や施設を長野に移す。オーストリアのウイーンのような環境で日本の芸術を育てる。上の動物園を静岡に移し、パンダをみるのに静岡に行くようにする。国会を千葉の成田に移す。外国人の要人が来やすくする。とにかく若者が東京に集まらなくてもいいように地方都市へいろいろ移転計画をしてはどうでしょうか。現実的には難しいと思いますが、それぐらい思い切った方法をとらないと少子化は進む一方だと思います。

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