これは日本人独特の文化なのかもしれませんが、日本人はみんながやっていると自分もやらなければならないと考えやすいように思います。よく言われるのが、喫茶店である人がコーヒーを注文すると同調する人が多いので喫茶店は儲かると聞いたことがあります。マスクの着用でも欧米のように罰則規定がなくても、みんながしてるからみたいな空気感のようなものがあると思います。こうしたことが実際教育現場でもあると考えます。例えば、ピーマンが嫌いの子どもが、仲の良い友達がおいしそうに食べている様子をみて、食べられるようになった。といった話などもその一つです。これは体にいいから食べなさいと叱るより効果的です。これを私は集団による教育と言っています。では、どのように教師が集団による教育を進めていけばいいのでしょうか。私なりの考えを述べます。
①よさをみとめ広める
これはベテラン教師なればなるほど、よく使う方法です。つまり、頑張っている子どものよさを認め、それを多くの子ども達に伝えていく方法です。授業がはじまったのにざわついていた時、一括して静かにしなさいと注意する方法もありますが、○○君の姿勢とってもいいね。○○さん話を聞く姿勢がすごく素敵ですね。といった言葉のなげかけです。不思議なことにこの言葉に多くの子ども達は口を閉じて聞く姿勢を作ることがあります。グループでもいいです。1班はとてもよく掃除をがんばりました。すばらしいですね。みんなで拍手をしましょう。1列目の子は忘れ物がゼロでした。などと良さをひろめていくのです。個別に叱らなくても、不思議と学級全体がいい方向へ向かいます。ただし、これだけで全てうまくいくとは限りません。時には厳しく、時には認め励ますことで学級の雰囲気が学習集団へと変わっていきます。ある種の秩序ができあがってきます。これが私の考える集団による教育です。
②仲間によさを認めてもらう
小学校ではよくやる方法ですが、良いことみつけというものです。一日のがんばっている子を発表してもらうのです。あるいはキラキラさんなどと言われるように、頑張っている子どもの様子をカードにかいて教室で掲示する方法もあります。方法はいろいろありますが、仲間同士よさを認め合う場を作ることが、お互いを高めあうのに役立ちます。
③委員会や係による表彰
ボランティア表彰、多読賞、あいさつ名人など係や委員会が頑張っている子に賞状をおくる方法もあります。中学校では学級ごとで○○点検やキャンペーンといって隅々掃除など頑張っているクラスや個人を表彰する方法があります。これも集団による教育の一環です。積極的な生徒指導ともいわれ、プラス面での良さを認めることで学級全体がよりよい方向に向かっていきます。
④環境を整える
ベテランの教師になると、環境の乱れを気にします。ゴミが落ちていると黙って拾い。机を乱れていると放課後、整頓します。雑巾が乱雑にかけてあると整理します。いがいと若いころは気づかなかったのですが、こうした環境面を整えることは落ち着いた学習環境を作ることへつながります。昔、ニューヨークの地下鉄で落書きを消したら、犯罪率が下がったと聞いたことがあります。落ち着いた環境づくりは集団を育てるのに一役をになっていると思います。子どもだけに目にをむけるのではなくこうした環境面での整備にも目を向けてほしいと考えます。
⑤みんながやらなければ誰もやらない
これをかくと日本人は変わっていると言われるのですが、その時代の雰囲気にようなものがあります。校内暴力って聞いたことありますか。私が教師になったころは校内暴力という言葉がテレビでも普通に流れ、そうした番組も多くありました。変形学ランがはやり、そうした漫画もはやりました。それが当時かっこよかったのです。今、そんな学生みたことありますか?ある番組でヤンキーを探せとかいうのがやっていましたが、本当にみなくなりました。なぜか?一言でいうとカッコ悪いからです。映画の世界の話になっています。誰もやらない。そんな時代に個性だと言って変形した学生服を着てくる子はいなくなりました。ピアスも一頃に比べるとずいぶん減りました。なにか流行のようなものがあり、そうした空気みたいなのが集団の意識といして学校にも影響を与えてきました。明確に根拠はないのですが、何となく流れる雰囲気も意識しながら指導をすることは大切に思います。今は○○ハラと言われるように、ちょっとした言葉のやりとりが問題になる時代です。我々教師は時代の流れも意識して指導に当たる必要があると思います。
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