食料自給率0なのに毎日廃棄される給食

長年学校で働いていると給食指導の変化について感じていることがあります。それは、大量の給食の廃棄についてです。多い時には一クラスで大食管の半分以上が捨てられます。当然、全校、全国となるととてつもない量が捨てられているのです。給食指導の変化と食料自給率について考えたいと思います。

給食は無理には食べなくてもよい時代に

テレビを見ていると、給食が苦手で休み時間まで食べさせられたというコメントをよく聞きます。しかし、それは昔の話です。今はそんなことをすると、すぐにニュースになります。給食を無理に食べさせたことが問題となり、体罰として職員が処罰される時代になってきました。アレルギーはアレルギーで対応した食事が用意される時代ですが、嫌いだから食べなくてもよい時代になってきました。子どもたち全員には残さず食べましょう。野菜も食べましょうとは言うものの、食べられずにぐずぐずしている子どもには○○分になったら残していいので食器を片付けましょう。というぐらいに無理に食べさせる指導は現在行っていないのが一般的です。これを無理やり食べなさいというと、放課後、保護者から苦情の電話が入ります。給食時間が苦痛で不登校になったらどうするんですか。といった内容です。昭和では考えられないことです。ニュースでは報道されませんが、おそらく全国の小中学校で毎日大量の給食が廃棄されていると思われます。輸入に頼っている現状で少し心配になります。

食料自給率って何パーセント?

よく、食料自給率は60%だとか、米は100%自給できていると言われます。それはあくまで、日本で作られているものを、輸入の食料との割合で求めた数字です。しかし、現実は違います。日本の農業は今や全て機械化が進み、機械が動かなければ何も生産できません。畑を田耕すトラクターも軽油がないと動きません。田植え機、コンバイン、乾燥機、米を作るすべてに、ガソリンや軽油が必要です。肥料もほぼ輸入です。意外と知られていませんが、日本は肥料の原料をロシアから安く手に入れていました。ウクライナ戦争で経済制裁のため原料の価格が高騰し、肥料はほぼ倍の値段になりました。農家の人の話なのでどこまでが事実かはわかりませんが、輸入がとまると、入らなくなるのは食料だけではありません。当然、石油も入らなくなります。その時、おそらく日本で食料生産などできません。そう考えると、現在の食料自給率はゼロだと考えるのが妥当だと思います。

廃棄される給食の利用を考える

廃棄される給食をゴミにするのではなく、家畜のえさにしたり、畑の肥料にしたりするような、リサイクルできるシステムをつくってはどうか?自治体では難しいので国全体でそうしたシステムづくりをして、食料をできるだけ無駄にしない。そうした取り組みをしてはどうかと考えます。

食育指導の充実を

食育指導では栄養バランスや見栄え、味付けなどの指導をされますが、食料の大切さについては今一つのように感じます。嫌いな野菜も栄養があるから食べようではなく、実際に食べる練習をしてはどうか?野菜炒めも調理実習でやると、いがいと子ども達は食べたりします。家庭科だけでやるのは時間的に無理があるので、プロの料理人の講座などをやり、苦手な食べ物を食べることのできる指導をしてはどうか?切り身しか食べない子どもに、魚の食べ方講座のようなものをして、骨つきの魚をいかに上手に食べることができるようになるかと指導してはどうか?日本人本来がもっている食文化を大切にしたいと思います。

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