塾の○○人合格の数字をどうみるか

塾の宣伝にA高校に○○人合格、B高校に○○人合格と書いてあります。塾選びの基準になるかと思いますが、中学校で進路を担当するとその数字に隠された塾の実態が見えてきます。合格者数に隠された秘密というか?実態について説明します。

塾にもいろいろあり、数字を宣伝するのは大手だけ

一般に宣伝で合格者の数を宣伝しているのは大手の塾だけのように思われます。そもそも小さな塾は宣伝をするほどお金がないためそうした発表はしないのも事実です。ただ、大手の塾となると、もともとの塾生の数が多いので結果、合格者数が多くなります。裏をかえせば不合格者数は発表しないので、A高校合格者100人不合格者50人なんてことは発表しません。

大手の塾は塾代も高いがカリキュラムはしっかりしている

小さい塾は個人経営でやっている所が多く、どちらかというとその子に応じた学習支援をしているように思います。大手の塾は受験用のカリキュラムがあり、それにそって授業を進めているように思います。入試の過去問の分析もされ、そのための対策を行われています。各中学校の期末テストや中間テストの傾向なども分析しているため、中学校の教師は前年出した問題をだすことはできなくなっています。塾の講師も専属の講師を配置しアルバイトの学生ではなくプロの講師がいる点は安心することができると思います。そのため、塾代はかなり高いように聞いています。

大手塾の競争

大手の塾は生徒の獲得のために熾烈な競争をしています。子どもの数は減少しているので一人でも多くの生徒を獲得する必要があります。塾同士の闘いで以前あった塾が縮小し新しい塾が台頭してくることもよくあります。市内のビルには塾の宣伝がやたらと目につきます。しかも塾のライバルは他の塾だけではありません。おなじ系列の塾でも合格者を競っているように思います。それぞれの塾長にはかなりのプレッシャーがかかっているようです。そのため、生徒の進路指導へもかなり介入してくるように感じます。

中学校での進路指導

進路指導をしていると必ず起きることがあります。それは、模擬試験ではいつも合格ラインだったのに本番で失敗して不合格になる生徒がいたり、ちょっと難しいと思われた生徒が合格したりといったことです。だから、自由に受験しなさいというのも無責任な話なので、ある程度アドバイスは行います。(ただし、以前のように強制はしません。)中学校では合格後を見据えた指導が中心となります。毎年受験生をおくっているので、高校別の合格ラインのデータはある程度あります。そこで考えるのは合格後その学校での学習についていけるかどうかです。進学校になればなるほど、宿題も多くなりますし、授業のスピードもはやくなります。土曜授業を行っている所もあったりします。卒業生から各高校の様子も聞いているので、だいたいの校風みたいなのはわかります。その学校に合うだろうか、合格しても辞めてしまわないかといった心配もします。余計なお世話なのかもしれませんが、3年間一緒に生活してきた子ども達なので、ただ合格すればいいという考えでは進路指導は行わない所があります。

大手塾は受かればいいとう所が多い

塾長は結果が求められます。中学校はその子にあった学校を考えます。そこで進路指導の考え方の違いがぶつかります。つまりA高校にぎりぎりでも合格の可能性があれば塾はそこを勧めてきます。中学校は無理せずB高校で自分の学力にあった学習をしたほうがいいと勧めます。あとは本人と保護者の判断です。ここには正解はありません。考え方の違いです。A高校に合格してから必死で勉強して有名大学に進学した子もいれば、やはり続かなくて辞めてしまった子もいます。あるいは受験に失敗して別の高校で頑張って大学に行った子もいます。何が正解のなかは誰にも分かりません。ただ、全ての塾ではありませんが、塾の宣伝○○人合格に中には無理して入った子の数字が何人か含まれているのだろうと考えます。

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