センスが問われる保護者対応

事件は靴の中に「画鋲が入っていた」というA子の相談から始まりました。その後も画鋲を入れは続き、A子の母親からは「いじめではないか」と訴えがありました。ただ、画鋲が入れらる時間を特定していくと、休み時間ではなく、授業中であることや、A子自身が授業中にトイレに頻繁に行くことが分かってきました。A子の希望もあり、学級でA子の名前を出して事実を伝えました。子ども達からは「A子がかわいそう」「やったやつが許せない」という声があがりました。その時のA子の様子はとてもうれしそうでテンションが高くなったいいます。ある日、理科で外の百葉箱に行くことになりました。担任は心配になり、少し遅れて下足箱に行きました。殆どの子どもは温度を測り教室に戻る所でしたが、A子だけは最後に下足箱に靴をいれていました。ちょうどそこへ担任がA子と会い、「大丈夫だった」と声を掛けました。A子は「大丈夫」と応え、靴をしまいました。担任は誰もいなくなったのを確認し、戻ろうとした時に念のためA子の靴を確認するとその中には画鋲が入っていました。

保護者への連絡

この事実は学年で共有し、担任が保護者へ連絡することになりました。しかし、電話がつながらず、担任が帰ってからA子の母親から電話がありました。状況を聞いていた別の教師が状況を伝えたのですが、担任の教師からはテンションのあがってA子の様子などは伝えてないと聞いていたので、別の教師はA子の様子に不審があることを伝えました。母親は納得せず、「学校はいじめを隠蔽している」とかえって怒り出す始末です。事実確認のため母親に学校に来てもらうことなりました。担任の教師には電話で学校に来てもらうように伝え、事実確認をし母親には納得してもらいました。

なぜ母親は怒ったのか?なぜ担任の教師はテンションがあがったA子の様子を伝えなかったのか?

別の教師はテンションのあがったA子の様子はおかしいと思い、それを伝えればA子が疑わしいと母親が気づくだろうと思い伝えたのだと思います。しかし、担任の教師はそれをしなかったのです。それはなぜか?結論はAがうれしそうだったとかテンションがあがったというのはあくまで教師側の主観に基づくもので事実がどうかわからないからです。担任の教師はそう感じたと思ってもそれはあくまで教師側の捉えであって事実として証明できないのです。だからその事実は伝えなかったです。教師側としては怪しいと思う材料にはなるのですが、それで判断するには難しいと思います。結局のところ担任の対応はよかったのです。事実のみと対応し、あくまでA子を心配している姿勢を続けた結果、母親は担任を信頼し、日頃からA子の様子のおかしいこと悩んでいることも話されました。結局、A子は自作自演を認めませんでしたが、その後の画鋲入れはなくなりA子は医療機関とスクールカウンセリングを行うことになりました。

教師としてのセンスとは

別の教師のやったことはダメなことなのでしょうか?間違いではないのですが、やはろ状況に応じた対応をすることの大切さを考えさせられる事案でした。担任はA子の様子がおかしいと思うつつ、「いじめだ」という母親の訴えから慎重に対応する方がよいと考えたのだと思います。生徒指導対応には正解はありません。状況に応じて変わります。別の教師がやったように主観で伝えてもわかってもらえる保護者もいます。ただ、その時の状況や保護者の出た方の違いを感じて対応することができるのは経験とその教師がもつセンスなのかもしれません。

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